午前6時40分、スタッフが私を起こしに来ました。
朝食はホブズ、ムサンメン、オムレツ、ジャム、チーズ、メロンシロップ、はちみつ、オレンジジュースでした。
食後はオーナーに滞在料金とバスチケットの料金を支払いました。
それから今までたくさんお世話になった分のチップも渡しました。
午前7時10分、スタッフが車で私を近くのバス停まで送ってくれました。
それから10分後、マラケシュ行きの長距離バスがバス停にやって来ました。
バスは全席指定席で、私は幼児を抱いている母親の前に座りました。
長距離バスに幼児が乗っていると思っていなかった私は、自分の運の悪さに落ち込みました。
また朝食をほとんど全て平らげていた私は、その時胃に不快感を覚えていました。
しかし私は普段乗り物酔いをしない体質だったので、酔い止めや胃薬を常備していませんでした。
バス発車後、案の定、後ろの幼児が何度も癇癪を起こしました。
幼児は癇癪と同時に、私の座席を何度も蹴り飛ばしました。
座席を蹴り飛ばされる度に私は後ろを振り向いて事態を確認していたのですが、母親は幼児を叱ることもなく、私のことは気にも留めていない様子でした。
私は母親の態度にイライラしたものの、英語が喋れないため、注意できずに我慢していました。
母親は幼児を叱ることはありませんでしたが、代わりに持っていたチョコレートバーを渡して幼児の気を引いていました。
母親からチョコレートバーをもらった幼児は、少しだけ気分が落ち着いたようでした。
しかしその後、再び幼児は癇癪を起こし、持っていたチョコレートバーを私の座席目掛けて投げつけました。
私はずいぶんイライラしていたため、幼児が投げつけて寄越したチョコレートバーを拾ってあげませんでした。
また幼児は癇癪の時に、ラクダのように唾を座席に吹き飛ばす癖がありました。
私は幼児が唾を吹き飛ばすたびに、気持ち悪さから吐き気に襲われていました。
そして私は後ろの幼児以外にも、通路を挟んだ隣席に座っている黒人のことも気になっていました。
黒人はスマホのスピーカー機能を使い、大音量でゲームや動画鑑賞を楽しんでいました。
我慢の限界が来た私は、指定席と知りながら、奥の空いている席へ移動しました。
奥の席に移動した後も、何度か幼児の癇癪声が聞こえてきましたが、私は前よりずっと心が楽になったのでした。
奥の席では、斜め後ろに座っている、ニット帽を被った男性に声を掛けられました。
男性はビニール袋にたくさんのデーツを持っており、何度か私に勧めてくれました。
私は怖かったので、その度に男性の誘いを断りました。
長距離バスは、12時間の運行の内、お昼休憩を含めて3回休憩がありました。
私は休憩時間の度に、外へ出て新鮮な空気を吸うようにしていました。
しかしマラケシュに近づく頃、私はバス酔いから頭痛と腹痛に襲われていました。
私は頭痛が悪化しないよう、頭を座席にぴったり引っ付けてバスの揺れを耐えきりました。
午後7時30分、長距離バスがマラケシュに到着しました。
バスから降りると、私はすぐにタクシー運転手から声を掛けられました。
声を掛けてきたタクシーの車は、大通りを走るタクシーの見た目とは違い、自家用車のように見えました。
そのため私はタクシー乗車を拒んだのですが、去り際、タクシー運転手から「Die」と暴言を吐かれました。
私は大通りを走る別のタクシーを捕まえて、フナ広場に向かいました。
フナ広場に到着した後は、タクシー運転手に近くの安宿「Hotel Hassan」を教えてもらい、ひとまず荷物を置いていくことにしました。
「Hotel Hassan」は1泊150DHで、部屋の中は暖かいものの、トイレや毛布は異臭を放っていました。
私は荷物を置いた後、広場へ出掛けました。
広場の入り口では巨大な馬車をたくさん見かけました。
私は広場で音楽やダンスを鑑賞したり、アルガンオイルやランプシェードの展示を眺めたり、蛇使いの大道芸を楽しんだり、出店でケバブサンドを食べたりしました。
広場では運転の荒いバイクが走り抜けており、私は時折ヒヤッとさせられました。
疲れていた私は広場の奥へは進まず、活気が残る広場を後にして、静かなホテルで眠りにつきました。
