モロッコ旅行③

 

スピーカーから流れるアザーン(礼拝の歌)で目を覚ましました。

 

外から鶏の鳴き声も聞こえてきます。

 

私は2階のツインベッドがある部屋に泊まっていました。

 

階下のキッチンから、ホテルのスタッフが朝食の準備をしている音も聞こえてきます。

 

昨日ホテルのスタッフに無理を言って、少し早い時間帯に朝食を頼んでいたのでした。

 

私はベッドから起き上がって朝の身支度を始めました。

 

身支度が終わった頃、丁度ホテルのスタッフが部屋まで私を起こしに来てくれました。

 

ちなみに「Casa Aya Medina」滞在中、客は私1人だけでした。

 

用意されていた朝食はホブズ、ピロシキ、ムサンメン、グリーンオリーブ、ブラックオリーブ、チーズ、ジャム、オレンジジュース、コーヒーでした。

 

私は食い意地が張っているので、ほとんど全ての料理を1人で平らげました。

 

お腹を満たした後は、ブー・ジュルード門に向かいます。

 

もしかすると私のiPhoneが見つかっているかもしれないからです。

 

警察を訪ねてみると、明日の午前11時にもう一度ここへ来てほしいと言われました。

 

一旦「Casa Aya Medina」に戻ったところ、ホテルのスタッフから声を掛けられました。

 

なんと彼は自分の携帯を私に貸してくれるというのです。

 

私は彼の好意に感激しました。

 

フェズの旧市街は別名「迷宮都市」と呼ばれていて、巨大迷路のように複雑な構造をしているのです。

 

携帯が手元にあれば自由に観光を楽しむことができる!と思ったのも束の間、彼の携帯にはロックが掛かっていました。

 

彼にパスワードを確認しようと1階を探し回りましたが、既にホテルはもぬけの殻でした。

 

落胆した私は携帯の使用を諦めて、観光のため旧市街へ向かいました。

 

旧市街の細い路地には、人だけではなくロバも歩いています。

 

出店を見ている途中、1人の青年に声を掛けられました。

 

どうやら進行方向には礼拝所があるため、部外者は立ち入り禁止のようです。

 

彼は道案内をしてくれると言い、一緒に行動することになりました。

 

彼は27歳の医学生だと自己紹介してくれました。

 

私は彼にフェズで有名なタンネリを探していることを伝えました。

 

様々な出店の前を通り過ぎながら、彼と一緒にタンネリにたどり着きました。

 

タンネリにも専門のガイドがいます。

 

ガイドは私にミントの葉を渡し、ミントの葉を鼻に押し当てながら観光するように勧めてくれました。

 

階段を上って、上からタンネリを鑑賞しました。

 

建物の1階には革製品が売られていて、靴やカバン、財布や椅子のカバーなど様々な商品を見せてもらいました。

 

結局何も買わずに、案内してくれたガイドにチップを渡してタンネリを離れました。

 

タンネリを出た後も、医学生の青年は私と一緒に行動していました。

 

私はそろそろ1人で観光したい気分になっていました。

 

そこで、トイレ休憩も兼ねて、近くにあったネジャーリン木工芸博物館に入りました。

 

彼は興味がないようで、博物館の中まで入ってくることはありませんでした。

 

私は1人でゆっくり工芸品の展示を眺めることができました。

 

鑑賞を終えて外に出ると、なんと青年は私のことをずっと待っていたのでした。

 

その後は彼に連れられるまま路地を歩いているうちに、出店を抜けて、小高い丘の上まで来ました。

 

そこはフェズの旧市街を一望することができる絶景スポットでした。

 

丘の上には他に観光客の姿はなく、そこにいるのは彼と私の2人きりでした。

 

彼に手を引かれて、崩れた建物の残骸を登って頂上までたどり着きました。

 

そこで彼は自分の携帯で私とツーショットを撮りました。

 

素晴らしい景色に感動した私は彼に感謝を伝えました。

 

ホテルに帰る途中、タンネリの上では羊が飼われている様子を間近で見ることができました。

 

ホテルに着いて彼と別れる際に、感謝を込めてチップを支払おうとしました。

 

でも彼はチップを受け取ってくれません。

 

紙幣はないの?と冗談めかして聞いてきます。

 

私はモロッコディルハムを殆ど持っていなかったので、なんとか彼にコインを渡そうとするのですが、彼も譲りません。

 

結局私が折れ、紙幣を渡して彼とお別れしました。

 

彼と別れた後、ホテルの鍵を開けようとしたのですが鍵が開きません。

 

実はこの鍵が曲者で、上手く回さないと開かない仕組みになっているのでした。

 

困った私は外にいた子供たちに声を掛けて鍵の解錠を頼みました。

 

子供たちも快く応じてくれたのですが、それでも鍵は開きません。

 

今度は近くで出店をしているおじさんに助けを求めました。

 

そこは年の功、おじさんは簡単に鍵を開けることができました。

 

部屋に戻った私は旧市街の出店で買った焼き菓子を食べました。

 

しばらくするとホテルのスタッフも帰ってきたので、彼に借りていた携帯を返しました。

 

彼はミントティーを淹れてくれて、2人でクロワッサンを分け合って食べました。

 

ちなみに携帯を紛失してからはシェフシャウエンに行くことを諦めていました。

 

ロッコへ来た1番の目的は砂漠でラクダに乗ることなので、携帯が見つかり次第、砂漠へ向かうつもりです。

 

ホテルのスタッフに延泊をお願いしたところ、了承を得ることができました。

 

まだお腹が空いていた私は、昨日行った施設で魚のフライを買って食べました。

 

魚のフライにはやっぱり赤い液体ソースが付属していました。

 

魚のフライは美味しかったのですが、鮮度が悪く、寝る前に少し胃の調子が悪くなりました。

 

 

* モロッコ旅行記

モロッコ旅行① - BabyRabbitの日記

モロッコ旅行② - BabyRabbitの日記

モロッコ旅行③ - BabyRabbitの日記

モロッコ旅行④ - BabyRabbitの日記

モロッコ旅行⑤ - BabyRabbitの日記