カサブランカで1泊後、朝早く電車でフェズに向かいました。
フェズ駅を出ると、駅前では沢山のタクシー運転手が客引きをしています。
フェズを観光する前に、次の目的地シェフシャウエンのバスチケットを買うため、一旦CTMまで向かいます。
タクシーの客引きを横目にCTMまで徒歩で向かおうと進みましたが、リュックサックが思いのほか重たかったので、駅前に戻ってタクシーに乗ることにしました。
駅前に戻ってみると、先ほどまで沢山いたはずのタクシー運転手がいなくなっていました。
途方に暮れてタクシー乗り場をうろうろしていたところ、ある男性に声を掛けられました。
彼はタクシー運転手で、私を目的地まで連れて行ってくれるというのです。
早速車に乗せてもらいたいところですが、駅前に車は停めておらず、少し離れた街中に車があるとのことで、そこまで一緒に歩いて向かうことになりました。
歩きながら、彼に目的地を伝えるために私のiPhoneを見せてあげました。
彼は不自然なくらい私のiPhoneの画面に顔を近づけていて、視力がとても悪いことが伝わってきました。
私は彼が本当に車を運転することができるのか不安になりました。
彼は「車までもう少しだから」と何度も私に伝えてくれましたが、中々車までたどり着きません。
会話の流れで再び彼に私のiPhoneを見せてあげたのですが、その時に彼の手が私の手に触れました。
よくよく彼の手を見てみると、なんと指がほとんどありませんでした。
そこでやっと彼が危ない人だと気が付くことができ、タクシー乗車はキャンセルすることを伝えて、急いで横断歩道を渡って彼から離れました。
Googleマップを見ながら歩いて、無事にCTMまでたどり着きました。
そこで明日の昼にシェフシャウエンへ向かうバスチケットを購入しました。
CTMから出てタクシーを拾い、ブー・ジュルード門を目指します。
門にたどり着いて料金を支払う際、運転手の手が汗でべとついていることが気になりました。
後で発覚したのですが、タクシー料金が相場よりもかなり高額で請求されていたのでした。
タクシーの外にいた地元のガイドがドアを開けてくれたので車から降りました。
降りてすぐに、先ほどまで手に持っていたはずのiPhoneがなくなっていることに気が付きました。
急いで車内を確認しようとしましたが、すでにタクシーはいなくなっていました。
きっと運転手が気が付いて戻ってきてくれるだろうと思い、しばらくブー・ジュルード門前で待機することにしました。
その間、門前にいる地元のガイド達に声を掛けられました。
中々タクシーが戻って来ないので、ガイドや門横で常駐している警察に事情を話しました。
すると、ガイドの1人がiPhone探しの手伝いを申し出ました。
彼はフェズで公認ガイドをしているとのことで、免許証を見せてくれました。
私は彼と共にタクシーに乗って、まずは市内の大きな警察署へ向かうことを決めました。
警察署に行く前に、彼は売店に寄って自分の携帯のSIMカードを購入したのですが、なぜか料金は私が支払うことになりました。
そして警察署に到着するのですが、そこでもタクシー料金は全て私が支払いました。
警察署ではガイドから警察に事情を伝えてくれましたが、結局手掛かりは見つかりませんでした。
その後、ガイドの提案で別の警察署へ向かうことになりました。
タクシーで目的地へ向かうのですが、見慣れた景色が遠ざかっていき、観光地から遠く離れた場所まで来ていました。
怖くなった私は信号で停まっている間に勝手にタクシーを降り、車内にガイドを置いて別のタクシーを拾いました。
ブー・ジュルード門に戻ったところ、車内に置いてきたガイドが先に戻ってきていました。
門横に常駐している警察の案内で、今度はタクシーセンターへ向かうことになりました。
パトカーに乗ってタクシーセンターまで行きましたが、やはりiPhoneは見つかりませんでした。
予約していたホテル「Casa Aya Medina」の近くまでパトカーで送ってもらうと、警察の電話でホテルのスタッフが外まで迎えに来てくれました。
ホテルに着いた後は、荷物を置いて、外へ食べ物を買いに行くことにしました。
道がわからないので、適当に歩いて見つけた近くの施設に入り、挽肉が挟まれたパンを買って食べました。
挽肉はスパイスが効いていて美味しかったのですが、付属の赤い液体ソースは若干生臭いような風味があって苦手な味でした。
飲料水とお菓子も買ってホテルに持ち帰り、その日はそのまま休むことにしました。